ある医大生のぼやき

証券会社で勤務ののち、医学部に入学しました。

相対的に忙しい診療科はどこか①(勤務日数)

計算を間違えてました。全体的に勤務日数が増加してます。

一般的に医師は忙しいイメージがありますが、診療科目内で忙しさにどの程度差があるのか気になったので調べてみました。

用いたデータはおなじみの「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」に含まれる、「医療施設従事医師数(主たる従事先),主たる診療科、主たる従事先の勤務日数、宿直・日直回数別」になります。

厚生労働省によると、このデータは医療施設で働く医師を対象に「平成30年12月1日から7日」にかけての勤務日数と、当直・日直回数について調べた統計とのことです。

7日間のみのサンプル調査なので、季節的に忙しい科目があればその分偏りが生じている可能性があります。また、複数の病院で勤務している場合の扱いがよくわからないので、あくまで目安として捉える必要がありそうです。

今回はまず勤務日数について見てみます。基準となる5営業日と比較して少ないほど休暇を取りやすい、もしくは外勤・アルバイトに行きやすいと言える指標かもしれません。

臨床研修医がまさかのトップ

7日間の中で、診療科目別にどの程度働いていたかを表したのが下図になります。

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臨床研修医、心臓血管外科が5日を超える

週休2日換算だと5日が目安の勤務日数になります。全体の平均(「総数」の項)は4.474.75。勤務日数が多い科目を見てみましょう。

ご覧の通り、臨床研修医」の勤務日数が最も多いことがわかります。一週間の勤務日数が平均で5.11日と5日を超えており、平均的に休日も働いていることがわかります。アルバイトが禁止されている&有給が取りにくいといった状況に加え、何らかの理由で休日出勤をせざるを得ない可能性がありそうです。

外科系が上位に並ぶ

臨床研修医」に続いて勤務日数が多い診療科として外科が3つ続きます。「心臓血管外科」、「肛門外科」、「呼吸器外科」になります。「臨床研修医」はもちろん診療科目ではないので、実質的に上位3つが外科系になります。このあたりは、男性比率の高い診療科目でもありました。「心臓血管外科」は、「臨床研修医」以外で唯一勤務日数が5日を超えています。

外科系が忙しい印象はあったので想定通りといえば想定通りですが、産科をはさんで再度外科系が並び、「気道食道外科」、「脳神経外科」、「小児外科」、「消化器外科」と続きます。「臨床研修医」と合計項目の「外科」を除くと、上位10位中9科目が外科系科目であることがわかります(産科、救急科も外科系とカウント)。外科は休みを取りづらい、という印象はあながち間違っていないようです。

 

 臨床検査科が上位に

 ほとんどが外科系で占められる中、「臨床検査科」はやや異色です。臨床検査科は2008年から標榜科になった診療科らしく、種々の診断結果から臨床的な判断を行う科目のようです。

https://www.jslm.org/recognition/purpose/qa_do.html

大量の検査をチェックする必要があるためか、相対的に人手が足りていない可能性がありそうです。「臨床検査科」のあとには「救急科」が続きます。

 

 内科では循環器内科がトップ

上位10位程度はほとんどを外科系が占めていますが、内科からも「血液内科」、「循環器内科」、「呼吸器内科」が比較的上位にランクインしています。ただ、内科の場合は全体的に忙しいというわけではなさそうです。開業医による標榜が多い「内科」の勤務日数は4.374.69日で、全体平均(「総数」)の4.474.75日より少ないことがわかります。「心療内科」や「糖尿病内科」などは勤務日数が少なく、内科系の科目の中でばらつきが多いと言えそうです。

【参考】95%信頼区間をつけたグラフ

上記の平均値に信頼区間を付け足したのが下図になります(下に行くほど勤務日数が多い)。どうも勤務日数が平均的に少ない科ほどバラつきが多い傾向がありそうです。

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勤務日数が低い科ほどバラつきが大きい傾向

実際に散布図で調べてみると、心療内科美容外科などで「勤務日数が少ないほどバラつきが大きい」傾向が見られます。これらの診療科目は開業の比率が高い特徴があります。勤務形態がフレキシブルである、もしくは忙しいクリニックとそうでないクリニックの差が大きいということかもしれません。

一方、上位の臨床研修医や心臓血管外科などは勤務日数も多いうえ、バラツキも少ないことから「だいたいみんな忙しい」様子が浮かび上がります。肛門外科を除いた上位の外科科目も同様の傾向です。

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勤務日数が少ないほどバラつきが大きい傾向