ある医大生のぼやき

証券会社で勤務ののち、医学部に入学しました。

相対的に忙しい診療科はどこか⑤(総合ランキング)

 前回は、診療科目間の忙しさを異なる指標を基準に偏差値化して比較してみました。

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それぞれの指標(勤務日数、休日出勤数、当直回数)で科ごとの特徴が掴めてたのではないかと思います。

今回はこの3つの指標を総合して忙しさのランキングを作ってみます。もちろん挙げた3指標以外にも忙しさを測る物差しはあると思いますが、同一の統計から得られるこれらの指標に限定して計算します。

ここではそれぞれの統計値を標準化し、得られたZスコアの合計値を更に偏差値に換算してランキング化します。

ウェイトをどうするか

次に合計する際のウェイトを考えます。単純に3つのZスコアを合計してもいいのですが、指標間での類似性・それぞれの項目が医師の生活に与える影響の差は考慮する必要があるかなと思います。

(もちろん忙しさの感じ方は様々ですので、以下は僕の妄想と偏見です笑)

自分が社会人だったときのことを思い返すと、恒常的に業務が多い・労働時間が長いと忙しく感じた記憶があります。普段の業務が忙しくなければ、突発的に土日勤務が入ってもなんとかなります。逆にいつも忙しい場合、ちょっとした業務の増加でも負担を強く感じます。従って、勤務日数の多さは忙しさの基調を決めると仮定します。

次に、勤務日数以外の2つについて考えます。常に忙しい状況で、土日勤務と当直のどちらが負荷感に繋がりやすいといえるでしょうか。まだ学生なので妄想の域を出ませんが、睡眠不足に直結しそうな当直がより大変そうです。定期的に休息が取れていれば連勤もなんとかなりそうですが、当直後に続けて勤務を行うのは体への負担が大きそうです。従って、土日勤務より当直回数のウェイトを重くすることにします。

以上の簡単な推測からウェイトを

「勤務日数」:「当直回数」:「土日勤務日数」=3:2:1 

と置くことにします(あくまでも目安です)。上記のウェイトで順位を計算した結果が下記の表になります。

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臨床研修医が最も忙しいという結果に

 診療科では産科が首位

全体の順位では臨床研修医が1位となり、診療科では産科が首位となりました。

臨床研修医に関しては、最もウェイトの大きい勤務日数のランキングで1位であり、他の指標でも上位に入っていたため、数字の上では特に驚きはありません。臨床医になる誰もが通る道ですが、その生態はなかなかにハードであることが見受けられます。

産科は勤務日数、休日出勤数で上位にランクインしていることに加え、当直日数では他の診療科に差をつけて1位となっていることが、今回の順位の背景と言えそうです。赤ちゃんの誕生に立ち会うことのできる素晴らしい科だと思う反面、このような恒常的な忙しさや無視できない訴訟リスクは事前に検討する必要があると言えるのではないでしょうか。

 

外科系は全般的に忙しい

診療科の中で2位となった心臓血管外科を始めとして、上位には外科系の診療科がずらりと並んでいることがわかります。美容外科、形成外科や乳腺外科といった一部の科を除いて、すべてが平均(=総数)より上位に位置しています。外科を志す以上、ある程度の忙しさは覚悟する必要がありそうです。

内科系では循環器内科が抜きん出る

外科系が殆どを占める上位において、内科系では循環器内科が上位に食い込んでいます。内科系2位の血液内科や3位の呼吸器内科とも順位が離れており、一歩抜きん出ていることがわかります。循環器系の不調が生命に直接的に関わることもあってか、忙しい労働環境に身を置いているケースが多いのかもしれません。