ある医大生のぼやき

証券会社で勤務ののち、医学部に入学しました。

働き方と診療科①大学病院勤務が多い診療科

働き方の選択肢が多いことが医師の特長の一つですが、診療科目によってある程度勤務先に特色が出るのも想定されます。美容外科に従事する医師はほとんどがクリニック勤務でしょうし、チーム医療の色合いが濃い(と少なくとも僕は捉えている)外科などは病院勤務が多いのではないでしょうか。そういった診療科ごととの特色を今回はまとめてみます。シリーズ第一弾は大学病院を対象にします(大学病院以外に、市中病院≒大学病院以外の病院で勤務する医師、診療所を開設=開業医の診療科についても分析する予定です)。

用いているのはいつもの統計です。

www.mhlw.go.jp

 

統計上で「医育機関附属の病院」となっている項目が大学病院になります。厚生労働省による「医育機関附属の病院」の定義は、

学校教育法に基づく大学において、医学又は歯学の教育を行うことに付随して設けられた病院及び分院

となっています。以下、結果です。

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診療科ごとの大学勤務比率

全体平均は18.1%

まず医師全体で大学勤務をしている医師の比率は18.1%です。したがって、この数値より多ければその診療科は大学勤務で働く医師の比率が高いと言って良いでしょう。

気道食道外科が1位

最も大学病院での勤務比率が高かったのは気道食道外科で69.6%という結果になりました。圧倒的に他の科目より比率が高いため、「気道食道外科」という標榜が大学病院に多い可能性がありそうです。人数を確認すると、気道食道外科が主たる診療科である医師数は794人のみ。消化器外科の8962人と比較して少ないことがわかり、気道食道外科という分類自体が少数派のようです。

次点には49.5%の小児外科が来ました。ある程度の大規模病院、つまりリソースの揃っている病院でないとできないという事情があるかもしれません。小児外科を一般外科と別に分けて持つためにもある程度の規模がないとできないという側面もありそうです。

内科系ではリウマチ科が首位

上位2つの診療科は外科系ですが、3位から5位までは内科系の診療科が並びます。3位のリウマチ科が48.5%、4位感染症内科は47.3%、そして5位の血液内科が44.2%となります。医師の業務自体あたらしい知見が常に求められ、研究と切っても切れない関係にある印象ですが、この3つの診療科についてはより大学との結び付きが強く学問的なのかもしれません。もしくは、潜在的な患者数が少なく、大学に集約されている可能性もありそうです。

 診療所や市中病院が多い診療科は下位

 当たり前ですが、下位に来ている美容外科や肛門外科などは大学病院ではほとんど無い診療科ということになり、診療所や市中病院で多い診療科と言えそうです。ちなみに美容外科では1%ほどが大学病院勤務となっています。気になったので調べたところ、神戸大学には美容外科が診療科として存在しているようです。

www.med.kobe-u.ac.jp